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2020.10.13

自分で決めた自己向上アクション、いつまで続けますか?

 コロナの影響もありテレワークが一気に普及しました。在宅ワークが中心になると、通勤時間から解放されることになり、その分の時間的余裕をいかに活用するかを考える必要もでてきました。この棚ぼた的に捻出できた時間を有効に活用すること、そのアクション如何で、ビジネスマンの将来価値が決まるとばかりに、自己啓発系の業者による営業が加速しています。自己啓発には様々なものがありますが、スキルアップのための自己学習や未来のための公的資格取得、ビジネススクールやセミナーへの参加、ビジネス書を読み漁ったり、毎日欠かさず実施する情報インプットなど、千差万別です。また、仕事に関わるものだけでなく、自分磨きとしての筋トレや英会話、ダイエット、マニアックな趣味の世界などもその範疇です。

 人が自己向上アクションの実行を決意する際には、何らかの強い動機づけが必要です。そして目的や目標を設定し、その目標に叶うような具体的なアクションを探して準備して実施することになります。この段階では、あれこれ考え迷いながらも一念発起して、重い腰を上げることになります。この起爆剤となる元々の動機づけが希薄だと、考えるだけで実行には至らない、または実行したもののすぐに止めてしまうこともあるでしょう。

 実行に移すだけでも高いハードルがありますが、実行し始めてからもハードルが待ち構えています。多くの人は、なかなか結果につながらず、このアクションは目標達成への正しいアプローチなのか?他の方法はないのか?などと疑心暗鬼になることもあるでしょう。結果が出ずに、次第に低下するモチベーションと戦い続け、止めてしまえば戒めから解放される、楽になるという悪魔の囁きと戦うことも多いはずです。

 そういった様々な妨害に打ち克ち、自己向上アクションの実行が生活中で自然な行動にまで昇華されれば、その後の継続は比較的楽になり、やがて当初の目的や目標に到達するでしょう。この決めたことをやり抜く、やり切るという行為は、とても立派なことです。自分自身への効力感につながり、「為せば成る」を体現させたことを誇らしく思うことでしょう。

 一方で、自己向上アクションを実行することと同じくらい大切なことは、そのアクションをいつまで実行するのか?どのように止めるのか?という言わば「出口戦略」です。自己向上アクションの実行には、時間的、金銭的なコストの他に、様々な欲求のうちのいくつかを放棄して、自己向上アクションを実行することになるので、心理的、身体的な負荷も強要することになります。自己向上アクションを止めることは、他のことに充当する時間や金銭、そして抑圧し我慢していた他の欲求を満たすことにもつながるのです(まさに悪魔が囁くのはこの点でしょう)。

では、いくつかの自己向上アクションを例をあげて、「ヤメドキ」を検討してみます。

① ビジネスに活用できる何らかの能力のスキルアップを自己向上アクションとする場合は、一般的には企業の職務を遂行する上で、ポジティブな効果につながるようなものを実行することになります。その目的は、業務品質の大幅な向上、顧客や上司、組織の仲間からの高い評価、組織目標の容易な達成、役職や等級のアップ、給料のアップなどの期待です。一方で、目標とする役職への昇格や給与アップ、部署の異動や転職などで求めたスキルが不要になった場合は、目的や目標そのものが消滅することになり、「ヤメドキ」が到来します。

② ビジネスに関係のない自己向上アクションとしては、例えば料理のスキルを磨くため、料理教室に通うというような自己向上アクションが考えられます。ここでの動機づけは、料理を提供する相手を思い浮かべ、彼らが喜ぶ姿を見たいというものや、婚活などのための自己磨きもあるかもしれません。子供の成長や食育にポジティブな影響をもたらすレシピやテクニックの習得、家族やパートナーに美味くて健康的な食事を提供するための調理上のコツなどの習得を目指します。その結果として、子供は好き嫌いなく順調に成長し、パートナーからは美味しいという褒め言葉や笑顔などがあれば成果といえるでしょう。一方で、子供が一定の年齢を超えてくれば、目的や目標が消滅することになり、「ヤメドキ」を迎えます。

③ 生活習慣病の懸念がある方は、大きな病気に発展しないように体質改善のための自己向上アクションを実施することになります。一般的には、食事の質や量の管理、飲酒量の削減、適度な運動などのアクションを実施し、その結果として体重の減少やBMI値の低下、ウエストサイズの縮小などの改善効果に加え、健康診断での各種数値改善が成果になります。悪化しつつあった数値が基準値以下に下がり、ドクターからのお墨付きをもらったところで目的達成ということになり、「ヤメドキ」になります。

 このように、自己向上アクションを完遂し、当初の目標を達成することでその目的自体が消滅し、アクションを決断した主たる動機づけがなくなることになります。このタイミングで、アクションを止めるか?継続するか?は2つの方向に分けることができます。一つ目は、さらに高い目標を設定し、より強化したアクションを継続するパターン、もう一つは動機づけがなくなったので、継続する意義を失いアクションを止めてしまうパターンです。

 前者はより高みを目指す“仙人”のような精神状態にあり、心理学的には「継続することそのものに意義がある」ということに主たる動機にすり替わります(もちろんより高い目標設定がある)。その背景には、これまで強い意志で継続してきたことを止めてしまうことへの罪悪感、これまでの自分の頑張りを否定することにつながるという、一種の強迫観念に近いマインドの変化があり、継続せざるを得ないとう状況に自らを追い込んでいきます。

 一方、後者の場合は、一種の燃え尽き症候群にも似た心理状態で、やり切った感とは裏腹にアクション疲れにも似たマインドの変化が現れます。これまで多くの欲求を断ち切って実行してきた、言わば嫌々継続しているようなアクションであった可能性もあり、それらから解放されるという安堵感もあるでしょう。達成したことで、自分自身へのご褒美と称し、それまでのアクションを止めてしまいます。

 しかし、これまでの自己向上アクションを止めた瞬間から、これまで積み上げた努力の成果が退化を始めます。構築した能力は磨かなければ徐々に退化し、収集した知識は陳腐化が進行し、最終的には元の状態に戻ってしまいます。TOEICや漢検などのスコアは、その後に磨き続けなければ、二度を同じスコアを取ることはないし、維持することもできないでしょう。ダイエットであれば、目標体重まで落とすために、過酷な食事制限を実施してきましたが、元の食生活に戻せば、一気にリバウンドすることになります。このように築き上げた成果を維持することはとても難しいことなのです。

 継続は力なりといいますが、熱い思いのもとで始めた自己向上アクションは、基本的には止めてはいけないということです(単なる趣味の一環はこの限りでない)。止めてしまえば改善前の元の自分に戻ってしまいます。一度始めたら、止めたくても止められないのが自己向上アクションと言ってもよいと思います。しかし、人はいろいろなことに興味を持つことで発展していきます。他にもやりたいことや新しくチャレンジしたいこともあるでしょう。「ヤメドキ」が来た時にすべきことは、自己向上アクションの内容を緩めて継続することにあります。これまでと同じような強い目標設定の元で、きついアクションを継続するのではなく、改善した現在の自分自身の能力や姿を維持する程度の目標に緩め、これまでのアクションの強度、頻度、量を減らし、リラックスしたマインドの元で、楽に取り組めるように変化させて一生付き合っていく、それが自己向上アクションの「出口戦略」なのです。

 自己向上は、その場その場の瞬間的な衝動でスタートさせることもありますが、自分自身が取り入れた生活習慣であり、一生付き合っていく「魂のバイブレーション」だと考えるべきです。

マンデー

 

 

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