PMI Consulting Co.,ltd.
scroll down ▼

2020.09.29

アウトドアが非日常ではなくなる日

 現在のコロナ禍においてもあらゆる市場が苦境に立たされ、生活嗜好品の売れ行きが鈍くなる一方、アウトドア市場が軒並み好調となっている。広い意味で使われている「アウトドア」を矢野経済研究所の調査では大きく4つの市場に分類している。

①アウトドアスポーツ

(競技スポーツとしてのアウトドア・アクティビティに関る用品・施設・サービスで、主にトレイルランニング、スポーツクライミング等を指す)

②ライトアウトドア

(自然環境との関わりを主たる目的としたレジャーに関る用品・施設・サービスで、主にキャンプ、ハイキング、釣り(渓流釣り、鮎釣り、ヘラ釣り、ルアーフィッシング、野外フェスティバル等を指す)

③登山
(「山に登ること」を主たる目的としたレジャーに関る用品・施設・サービス)

④ライフスタイル

(アウトドアブランドが販売する、上記分野に含まれない用品で、主に日常生活、ビジネス、トラベル等で用いられるもの全般)

 

昨今②のライトアウトドアのアクティビティの中でも、キャンプがとりわけ人気を博している。一般社団法人日本オートキャンプ協会の「オートキャンプ白書2019」によると2010年からオートキャンプの参加人口は増加し続け、2018年には約850万人にまで膨れ上がっている。主な要因としては「ソロキャンプ※」の増加や、芸能人によるYoutubeでのキャンプ動画、アウトドアメーカーによるキャンプイベントの開催数増加が挙げられる。

現在のコロナ禍において、消費者行動論を専門とする慶応大学の清水聰教授は、消費者のキャンプを含めたアウトドアへの関心の高まりは、今まで巣ごもりだったことの反動があり、3密ではない屋外への外出であれば、「周囲に許してもらえるという心理が働く」また、「屋内でカラオケや飲み会をやるのは、密になるため悪」と見なされているためだと言う。

このような消費者心理も働き、矢野経済研究所は、2019年の5008億円の国内アウトドア市場から20年は3.7%伸びると予測している。

 

ただし、このようなアウトドアへの注目は決して一過性のものではなく、コロナの状況が完全に収束したとしてもニューノーマルとして3密を避けながらできる活動として新規参入者が増えている今、新たなサービスが立ち上がりアウトドア、とりわけキャンプの可能性を広げようとしている。

 

ここでは2つのサービス事例を紹介する

(1)企業向け平日サービス「Office まきば」(千葉県成田市の観光牧場「成田ゆめ牧場」)

このサービスは広大な自然のスペースを活用し、キャンプ場をワークスペースとして提供している。コロナの影響で従来の「働き方」が大きく揺らぐ現在、依然テレワークなど厳しい労働環境を強いられる企業も多数であり、ストレスを抱えながら自宅で仕事をされている方に対して、このサービスは以下の様なメリットを提供しています。

〇安全と安心(キャンプ場では「3密」を回避でき、オフィスワークのスペースを提供)

〇開放と解放(ビル街とは異なる開放的な大自然の中では、固着した思考や硬直した関係からの解放)

〇交流の促進(テント設営、焚火を囲んで語り合うことで生まれる一体感や連帯意識、そして自然を舞台にした「思考⇔体験⇔交流」が創発性と双発性を促進)

 

このサービス事例で注目すべきことは、これまで目を向けられていなかった自然の空間にネット環境を敷き、仕事ができるインフラを整えようとしていることである。政府も都心近郊の企業を中心としたワーケーションを推進していることから、今後キャンプ場、ないしは大自然の中でも仕事をする人が増えることが予想される。また今現在においてもキャンプ場でインターネットが利用できる施設が増えている。

 

(2)ExCAMP (forent inc.) 

 

このExCAMPというサービスは筑波大学発のベンチャー企業が、個人が所有している遊休地をキャンプしてよい土地としてExCAMP に登録すると、Airbnb のようにキャンプしたい人とマッチングしてくれるサービスです。日本の国土のうち52.7%は私有地で、特に地方部の自然豊かな土地の多くは放置されている現状があり、このような遊休地の割合は年々増加しており、この有効活用として同社はキャンプに着目しています。

 

このサービス事例で注目すべきことは、これまで約1500カ所とされてきた国内のキャンプ場の数を増やし、私有地のキャンプ地だからこそできる安心なプラットフォームが整えられつつあることである。

大自然の中のキャンプ場でWifi設備が敷かれ、またこれまで限られたキャンプ場でしかキャンプ体験ができなかったが、今後はキャンプができる環境インフラも整い、立地的なハードルも下がることにより、非日常の体験を楽しむために行っていたキャンプ体験が日常の生活と一致する日はそう遠くないかもしれない。

  

脚注

※ソロキャンプ:従来の友人、家族など複数人数で行うグループキャンプではなくキャンプを一人で楽しむリクリエーションのことである。

Recruit

採用情報

お客様と共に成長し続ける新しい仲間を求めています

Contact

お問い合わせ