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2026.09.24

プロジェクトメンバーの1名はAIさん

 誰にでも最初があります。仕事面では、新しい仕事、新しい業務、新しいプロジェクトなどですが、新しいものは経験したことがないタスクや領域があるため、知見や知識が乏しく遂行の難易度は高くなります。しかし、いずれの場合であっても原則として失敗しないことが前提となっているはずです。どんな状況でも一定以上の成果を獲得するのがプロのビジネスマンでしょう。あなたに仕事を任せる上司も「あなたならできる」と考え、困難な仕事をやり遂げたその先の成長を思い浮かべてチャレンジングな仕事をアサインします。 

 

 かつて、自分がコンサルティング業界に転職した際に、知人である先輩から言われた「10か条」のことを思い出すことがあります。仕事を任された時には外してはいけないいくつかの不文律があり、それを愚直に実施していけば失敗することは無いというものです。それは、当時のアナログ的な考えによってまとめられたものでしたが、現在はAIが出てきて、その内容も変わってきました。そこで、アナログ的な部分をAI活用を前提として書き換えてみました。下に紹介する10か条は、仕事の成果を約束し、さらにAI活用で自分を楽にするコツになっているはずです。 

 

「あなたが仕事をアサインされたら……」 

1. 納期確認 <納期がみえたらAI活用で先行> 
 納期遵守はいつでも変わらない信用のベースです。ただし今は、ドラフト作成・要約・調査・コード生成などをAIに任せることで、作業時間を大幅に圧縮できます。「納期は間に合わせるもの」から「納期よりも早く仕上げてバッファを作る」へ発想を変えるべきでしょう。浮いた時間は、5の相談や6の説明責任に充てたり、自分の時間として使ったりすることもできます。 

 

2. 成果確認・合意 <成果の事前確認はAIで「解像度」を上げてから> 
 仕事がスタートする当初は、ほとんどの場合、成果のイメージがモヤモヤしています。それは仕事をアサインする上司も同じです。このモヤモヤ状態で確認しても空中戦になるだけで、有意な検討はできません。確認の前に、依頼内容や背景をAIに投げて論点整理や想定質問リストを作ってもらいましょう。「AIが作った叩き台」を相手にぶつけるだけで、イメージの具体化と合意形成が驚くほど速くなります。ただしAIの整理を鵜呑みにせず、最終的な合意は必ず人間同士の会話で確定させることは言うまでもありません。AIは対話の準備であり、対話の代替ではありません。 
 なお、成果物の内容や品質はプロジェクトの進捗次第で変わってくることもあります。もっと良いものにしようというアイデアが湧いてくることもあります。プロジェクトの進捗に合わせて何度か合意形成をしておくことを忘れてはいけません。 

 

3. タスク分割 <分割案もAIに壁打ちさせよう> 
 大きな仕事は複数のメンバーで実施することになります。メンバーにタスクアサインするためにはタスクを分解する必要があります。AIに「タスクを分解して」と投げるだけで、分割の叩き台が出てくる時代になりました。2と同じく、それを鵜呑みにせず、自分の経験と照らし合わせて調整します。AIは分割の初速を上げる道具としてはとても有効です。ミソは、分割した各タスクについて「人がやるべきか、AIに任せられるか」を仕分けることです。この仕分けは作業量の削減にもつながります。 

 

4. 優先着手 <特に「AIでもわからない」仕事は要注意> 
 タスク分割した際にあぶり出される「現段階ではどうしたらいいか見えないタスク」への対処には時間がかかります。やってみなければわからないので、試行錯誤が必要になるからです。しかしAIの使い方次第で、定型的な難しさの多くは解消されてきました。やっかいなのは、AIに聞いても要領を得ない仕事、答えが割れてしまう仕事、前例のない仕事などです。難易度の高いタスクこそ最優先で着手すべきです。「AIですぐに片付く仕事」を先にやってしまって安心するのは、優先順位の錯覚でもあります。 

 

5. ネタ探索 <前例を探し、なければAIと一緒に作ってみる> 
 アウトプットを作成するために、事例や前例を当たるのはこれまでと変わりません。今は、社内資料や過去事例が見つからない場合の「最後の手段」がAIに変わっています(場合によっては、前例を探す前にAIを活用するということもあるでしょう)。ただし、AIに聞いて出てきた答えは「正確な前例」ではなく「もっともらしい仮説」だと考えるべきです。特に事実確認が必要な情報は、AIの回答を鵜呑みにせず検証しておきます。 

 

6. 即相談(行き詰まったら) <相談前にAIで自己診断> 
 プロジェクトが進行すると、いくつも不明点が出てきます。自力で解決できる軽微なものでなければ、すぐに相談するフットワークの軽さが必要です。その際に、AIに状況を説明して「論点は何か」「聞き方の候補」などを整理させておくと、相談の質もスピードも上がります。最近よく見られるのは、AIとの壁打ちを「相談した」と勘違いし、壁打ちでの結果を「有効な対策」として満足してしまうことです。現状ではAIは意思決定の機能を持っていないことが多いので、最終判断とエスカレーションは必ず上司に対して行います。AIは思考の下ごしらえ、意思決定と責任は人間というのが原理原則です。 

 

7. 説明責任 <AIで「わかりやすさ」の質を上げる> 
 自身が作成するアウトプットには高い品質が求められますが、それ以上に説明責任を果たせるかが重要です。まずはアウトプットの品質を上げることに注力しますが、報告資料のチェック、誤字脱字の確認、専門用語の噛み砕きなども必要です。一連のアウトプット作成プロセスをAIに手伝わせることで、資料の質を底上げできます。ただし、AIが生成した数値や事実は必ず自分で裏取りしておく必要があります。もっともらしい誤り(ハルシネーション)を報告に混ぜてしまうと、説明責任を果たせません。それはAI時代における最大級の信用失墜行為になります。「AIが言ったので」は言い訳になりません。 

 

8. 依頼 <メンバーへの依頼は早めに、1〜7を守ってもらう> 
 メンバーへのタスク依頼は早めにするという原則は不変です。さらに、依頼相手を「人なのかAIなのか」意識的に選ぶ時代になりました。単純作業・情報整理はAI、判断・交渉・責任が伴う仕事は人に、というのがベースですが、AIを活用できる範囲はこれから広がってくるでしょう。なお、人に仕事を依頼するときは、1〜7を守ってもらうのと同時に、「AIをどこまで使ってよい仕事か」「どのAIを使うべきなのか」も明確に伝えましょう。また、AIを使うか否かにかかわらず、相手には依頼した仕事の説明責任は求めることになります。 

 

9. 精査 <AIの出力は「初稿」、「専門家の答え」として扱わない> 
 AIは優秀ですが無責任です。AI作成のアウトプットの誤りに気づかず顧客に提出した場合、その責任は100%あなたにあります。最終確認・裏取り・自分の言葉での咀嚼を怠らないことが、品質担保と説明責任遂行の準備になります。これらはAI時代の最低限のプロ意識といえるでしょう。 

 

10. 共通認識 <「成果に効く」コミュニケーションを設計する> 
 AIに有無にかかわらず、コミュニケ―ションの重要性は普遍です。定期的な打ち合わせは、コミュニケーションの「最低ライン」に過ぎません。それだけでは、報告のための報告、確認のための確認に堕落し、いつの間にか「予定通り進んでいることの確認会」になるかもしれません。上司・メンバー・クライアントとの関係は、仲良くなることが目的ではなく、共に最高の成果を出すための緊張感ある共同体であることを忘れてはいけません。仲が良い、話しやすい、というのは通過点であって目的ではありません。その関係が最終的に成果物の質を上げているか、判断のスピードと質を上げているか、リスクの早期発見につながっているかを、定期的に問い直してください。心地よいだけの関係は、成果が出なさそうになったときに真っ先に崩れるものです。 

 

 以上が10か条です。AIが出てきたことで、随分と楽ができようになったのと同時に、メンバーではなくAIに仕事を振るというアクションが出てきたことを改めて考えさせられました。AIは正に使ったもの勝ちですが、AIを信用しすぎて「裏切られた」としても、その責任をAIは取りません。そういう意味では、頼りにはなるが「かなり無責任な相棒」です。これからも一緒に仕事をしていく仲間として仲良く付き合っていきます。 

 

(注意)AIと対話し目的に資する回答を得るには、それなりにAIを使う知識と、AIの回答の正当性を判断する能力が必要です。そのような能力がまだまだ不十分な場合もあるので、プロセスの中に必要に応じて上位者によるレビューを含めています。 

 

マンデー 

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