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2025.04.28

コンサルタントはアドバイスしてはいけません

 このタイトルはコンサルティングファームに籍を置く者の発言として全く相応しくありません。コンサルティングビジネスはアドバイスをすることが仕事の一つであり、アドバイスをすることで対価をいただいています。このタイトルは自身の仕事を否定しているとも言えます。 

  

 人も企業も様々な課題を抱えて悩んでおり、自己解決が難しいためにコンサルティングビジネスのようなものが成立しています。例えば人の悩みであれば・・・ 

「どうしたら魅力的にみえるようになるかなあ?」 

「どうしたら時間を守れるようになるかなあ?」 

「どうしたら決めたことを実践できるようになるかなあ?」 

  

 このような悩みを打ち明けられたら誰でも力になりたいと思い、自分自身の経験値や知識を総動員して有効なアドバイスをあれこれ考えることと思います。ここでのアドバイスとは、ほとんどの場合は悩みを解決するための解決策を提示することになります。上記のような悩みであれば、それなりの解決策を見つけることは難しいことではないはずです。 

 先ほどの「どうしたら魅力的に見えるようになるか」という悩みに対しては、その人の良い点を見つけて強調する方法、良くない点を見つけて改善する方法を解決策として提示すれば、誰にでもアドバイスはできます。良い点、良くない点は、あくまで相談されたあなた自身の主観によるものではありますが、あなたが「それらを改善すれば確実に魅力的に見える」と考える以上、現段階では最適な解決策だといえます。 

 

 しかしその解決策が適切なアドバイスだったか?と問われると難しくなってきます。例えば提示した解決策はすでに相手が実施していてうまくいかなかったことかもしれません。また、あなたがすでに実施して成功したものだったとしても、相手は「それはあなただからうまくいったのだろう・・」というように否定的に考えてしまうかもしれません。あなたがポジティブに感じてもらえると確信して提示した解決策であっても、相手がどのようにとらえるかはわからないのです。そしてほとんどの場合、提示した解決策が実行されることはありません。 

 

 人はほとんどの場合、相手に解決策の提示を求めていません。概ね解決策は本人が一番わかっているからです。「痩せたい」という悩みがあったとしたら、解決策は限られているし、当人もすべきことはわかっているはずです。しかし実行できない(または実行したが完遂できなかった)から、いまだに課題として残っているわけです。 

コンサルティングの仕事は単にアドバイスするのではなく、「企業や組織、または社員がやりたいことや考えていることの実行を後押しする、背中を押す手伝いをして差し上げる」ことがほとんどです。求められているのはアドバイスではなく、背中を押して実行に移す手伝いなのです。 

 

 どれだけアドバイスが正しくても、他者の意見は実行されないことが多いものです。アドバイスが正しいかどうかではなく、当人がやりたいかどうかで実行するかが決まります。企業も同じで、コンサルタントの存在価値の一つは「専門家の意見を聞いたうえで、最終的には自分自身の考えを踏まえて決断(実行)した」という裏書なのです。 

 

 人は、自分の考えだけで決断するのは不安があるため、誰かに考えを聞いてみるものです。そして、相手が余計な話は抜きに無条件に賛同してくれることで、自分の考えに自信を持てます。これが求めているアドバイスの本質であり、人は特に新たな解決策(アドバイス)そのものを求めているわけではないのです。 

 

 では、アドバイスを求められていない中で、コンサルタント(または相談を受けた人)は何をすべきなのでしょうか? 相談や課題感を聞く中で、以下のことを実践しましょう。これらは、相手が求めていることでもあります。 

 

・(愚痴を含む)課題感の聞き役に徹する(ひたすら聞いて、賛同する姿勢を見せる) 

・自分のことは話さない(自分の情報を相手は期待していない) 

・解決策を提示せずに放っておく(他人のことはわからないし、求めてもいない) 

・聞かれたことだけに答える(あれこれ範囲を拡げても意味がないし自慢話になる可能性もある) 

・情報以外の助言はしない(自分の主観を語らない、客観的な情報だけを提供する) 

・評論家にならない(共感の姿勢を見せる) 

 

 ここに挙げたのは、カウンセラーの傾聴手法です。コンサルティングはカウンセリングに通じる側面があるともいえるのです。 

 

 なお、多くはありませんが、本当にアドバイスを求められることもあります。その際には、受け流すような姿勢はよくありません。この時の魔法の言葉は「なにかお手伝いできることはありますか?」と声をかけてみることです。本気でアドバイスが欲しいと思っている人は、必ず助けを求めてきます。そうでない人は、「もう少し自分で考えてみる・・」というような回答になることでしょう。 

 

 人はとても厄介な生き物です。アドバイスなど欲しくないのに欲しいような素振りを見せたり、切実に悩んでいてアドバイスを欲しているのに、反対のふるまいをしてみたりします。助けてほしいと切実に訴える人には積極的に手を差し伸べ、それ以外の場合は特に助けようと考えずひたすら聞き役に徹する方がうまくいくようです。 

 

マンデー 

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